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歯科放射線(X線)の歴史

1895年の11月、ドイツのWilhelm Conrad Roentgen がエックス線を発見したのは有名な話です。エックス線が厚いカーテンを透過して蛍光板に到達するのを見て、19世紀の最大の発見がなされたわけです。その年の12月にRoentgenは、夫人の指のエックス線写真を学会に提示し、大きな反響を得たそうです。その際に夫人は左手に指輪がはめていたので、その後当分は指を撮影する時には大きな指輪が用意してあって、それをはめて撮影するしきたりがあったという逸話も残っています。

歯科撮影についてですが、こちらはやはりドイツのOtto Walkhofが最初の歯の撮影をしたというのが定説です。その写真が今でも残っています(残念ながら版権の関係でお見せできません:参考文献Oral Radiology, Goaz W. and White S. C., Mosby、第1版または第2版、注:3版以後には記載がありません)が、歯の根っこの部分(歯根)の写りが不十分です。今は誰が見てもいい写真とは言えませんが、最初はそのようなものであったことは仕方ないと思えます。撮影には、小さく切った乾板を黒紙で覆い、口の中に数分入れっぱなしにし、エックス線は出しっぱなし、その間、撮影された人は動かないで待っていた…坂本竜馬の写真を見たことがある人は多いと思いますが、それと同じような苦労があったようです。

現在ではエックス線の発生効率が上がり、またフイルムの質が向上したので、あっという間に、また少ない被ばくでデジタル画像ができるようになっています。歯科医師にとっても、フイルムを自分で切ってパッケージを用意する必要がなくなり、撮影も短時間になり、現像も楽になりました。さらに今では、デジタルで現像液の必要もなく、コンピュータ上に大きく画像を出せるようになりました。発見から100年を経った今現在見られるような利用を、初期の苦労しながら撮影していた人達は、夢見ていたに違いありませんが、このような進歩についてはびっくりすることでしょう。

「歴史」には将来展望がつきものです。歯科放射線学の将来は一体どのようなものでしょうか?放射線という言葉は将来残るでしょうか?将来は、エックス線を使った検査は二の次になるのではないかとも考えられています。超音波診断やMRIの発展があり、エックス線に被ばくしない検査が発達する現在ですが、骨の中を見るのには現在、エックス線は欠かすことができません。未来にはとんでもない発明があり、エックス線を使わないでも骨の中を見ることができるようになるのではないかと想像されています。しかしながら現在は、手軽に、安く、また比較的安全に検査ができるエックス線検査に歯科医師は頼らざるを得ないのが現状です。

参照:お口のテーマパーク8020

歯科診療(検査)で使う放射線の種類

放射線の中には様々なものが含まれております。有名なものを挙げると、アルファ(α)線、ベータ(β)線、ガンマ(γ)線、エックス線などです。医科とほとんど同じですが、歯科でも検査のためには、エックス線が主体として用いられています。エックス線が用いられる理由はどこにあるのでしょうか?その1番の理由は取り扱いの簡便さです。他の放射線は、作るのが大変です。また、天然にある放射線(放射性同位元素から放出される放射線)は取り扱いに非常に苦労します。例えばふたをし忘れると、放射線が出っぱなしになることが挙げられ、これは被ばく事故につながります。

これに対してエックス線は、100Vの家庭用電源から作ることができます。電圧を高くすること(トランスを使います)が必要ですが、基本的にはコンセントを差し込んで、タイマー(一定のエックス線が出るとそこでスイッチが切れるようなタイマーです)を設定し、スイッチを押し続けるだけで、設定した量のみ、エックス線が放出(照射)されます。故障でもしない限りエックス線のそれ以上の放出はありません。また、タイマースイッチも「デッドマン方式」といって、エックス線の放出中にスイッチを切ると、その時点でエックス線の放出が生じなくなる、つまり途中でエックス線の放出を止めたい時には、タイマースイッチを押している指を離せばよいという安全機構が付いているわけです。

放射線の種類別特徴とそれらの医学(歯学)的応用について簡単に述べてみましょう。

第一に、アルファ(α)線やベータ(β)線などに代表される質量を持った放射線(粒子放射線と言われます)ですが、これらは持ち運ぶエネルギーが大きく、体の中に留まった時には大きな影響を及ぼすため、特定の部位に生じたがんの治療などに応用されています。また、診断としてもFDG-PETにより、悪性腫瘍の診断などに応用されています。しかしながら取り扱いが困難であったり、特殊な機械が必要であったりするために、歯科の世界では広く応用されるには至っていません。一部の大学でのみ、電子線などを用いた悪性腫瘍に対する放射線治療と、悪性腫瘍を診断するためのFDG-PETが用いられている程度です。場合によっては、RIA(ラジオ・イムノ・アッセイ)と呼ばれる検査に応用されていますが、これは例えば血液中の微量含有成分の分析などに血液採取の後に行われるものであり、患者さんの被ばくとは関わりがありません。

第二に、エックス線に代表される質量のない放射線(電磁放射線と言われます)ですが、こちらは体に対する影響力がさほど大きくないために、またコントロールしやすいためもあり、比較的安全に使うことができます。通常のエックス線撮影、放射線治療一般などに用いられています。

参照:お口のテーマパーク8020

歯科診療の検査にエックス線を使う意義

エックス線は歯科診療に大いに使われています。その理由は色々あります。

まず、簡単に作れて取り扱いが容易かつ安全なことが挙げられます。装置の構成は複雑ですが、装置のプラグを家庭用の100ボルト電源コンセントにつなぎ、電源スイッチ(メインスイッチ)を入れ、一定の方向に出力装置を向けて、タイマー時間を設定し、タイマースイッチを押し続ける…、これで、予測できる一定量のエックス線が放出されます。放出中のエックス線を止めたい場合にはタイマースイッチから指を離せばその時点で放出が止まります。故障で止まらないときには、電源スイッチ(メインスイッチ)を落とす、または電源プラグを引っこ抜く、それが不可能なときには給電ボックスのブレーカーを落とす…、色々な安全機構が予め充分に備わっているわけです。

放射の方向は一定で、円錐形(この範囲を一次円錐と言います)の形で放出されます。法律では許されていませんが、放出の方向の斜め後ろにいるとほとんど被ばくしません。また、鉛に代表される金属などの物質により、比較的簡単に遮蔽することができます。0.5mm程度の厚みがある鉛の板またはその量が入った物質(鉛入りガラスなど)があれば、その陰に隠れていることにより被ばくはしないで済みます。つまり、鉛で遮蔽したエックス線室で使う限りは、室外のヒトは安全ということになります。

何故、エックス線は必要なのでしょうか? それは、骨の中の構造変化を知るための道具で、現在最も有効に用いることができるものがエックス線だからです。骨は、エックス線にとってはガラスのようなものです。重要文化財などの外形をガラスの内部に曇りを入れて、三次元的に浮かび上がらせたお土産が現在入手可能となっています。エックス線を使うとちょうどこのように、骨の中で通常とは構造の違った部分が透視できるわけです。このようなやり方を非破壊検査と言います。非破壊検査によりどのような変化がどの位置で起こっているかを予め検討(診断)しておき、どのようにその異常を治すか(治療計画の立案)を検討する材料にしているわけです。「病気がありそうだからメスで開いてから考えてみましょう」というような、行き当たりばったりの診療は現在、許されるはずもありません。近代的な歯科治療は、診断に引き続いて歯科医が治療計画を立案し、それを患者さんに対して提示し、同意(インフォームドコンセント)を得てから初めて治療に取り掛かるという手順が必要です。このように、具体的治療の始まる前の段階において、エックス線検査は重要な土台となります。

エックス線が具備する作用とその応用

  • 物質透過作用

    骨の中を透過する作用

    利用法:エックス線写真

  • 電離作用

    伝播する際に空気を電離する作用

    利用法:測定器具

  • 化学(写真)作用

    化合物のイオン価を変える作用

    利用法:エックス線写真

  • 蛍光作用

    蛍光物質に蛍光発色させる作用

    利用法:増感紙

  • 生物学的作用

    体の組織に影響を及ぼす作用

    利用法:放射線治療(積極的には)
    ・副作用(消極的には)

放射線の一種であるエックス線がどのような作用を持っているかを考えてみましょう。上の表のように、エックス線は5つの作用を持っています。「物質透過作用」については非破壊検査という側面から理解いただけたと思います。「電離作用」は空気の分子をプラスイオン(+イオン)とマイナスイオン(-イオン)に分ける作用であり、これが一定の大きさの箱中でどのくらい生じるかが、放射線の量や強さを示す因子であることが分かると思います。この電離作用によって生じたイオンを+と-の電極で引くと、小さな電流が流れます。具体的にはこの電流を計測してやることで、その場所の放射線量を知ることができますので、環境の計測、個人被ばく量の計測などに用いられています。エックス線写真は白黒写真の一種です。白黒写真は、露光により生じた「潜像」を可視化したものです。この潜像形成に「化学(写真)作用」が利用されています。「蛍光作用」は、蛍光物質を励起する作用です。この作用の応用には、増感紙が挙げられます。蛍光物質を多く含んだ増感紙にエックス線が当たると、50倍、100倍の蛍光が放出され、この蛍光がフイルムに潜像を形成することから、患者さんに照射する放射線の量を減らすのに役立ちます。歯科で用いられる取枠(カセッテ)の中に増感紙が貼り付けてある写真を図1として示します。最後に示した「生物学的作用」は、放射線が様々な形で人体に影響することを指します。唯一の被ばく国である日本の国民として、放射線一般のネガティブな作用を知らない国民はいないと思いますが、生体の必要な部分にはできるだけ当てないように工夫し、悪性腫瘍細胞には必要充分な量が当たるように工夫した放射線治療のように、ポジティブなエックス線の生物学的作用上の利用もあることを認識すべきでしょう。なお、当院では歯科撮影システムのデジタル化に伴い、フイルムや増感紙を使用していませんが、画像形成の原理は同じものです。

ここで、エックス線の発生の方法について簡単に話しておきます。エックス線の発生は4条件が必要と言われており、これは過去に歯科医師国家試験に繰り返し出題されています。エックス線の発生原理は一言で言うと電気エネルギーからのエネルギー変換です。真空管の中で、陰極から電子を放出(熱電子放出)させ、高電圧で陽極に誘導し、タングステンまたはモリブデンでできているターゲットに当て、運動エネルギーをエックス線へと、強制的にエネルギー変換をさせるという手法による発生です。つまり4条件とは、①自由電子の存在 ②真空の環境 ③高電圧の印加 ④阻止物質の存在となります。効率は非常に低く、エックス線の発生効率は1%以下です。残りのエネルギーはほとんどが熱に変化し、装置全体が熱を持ってしまうため、熱処理ができる構造が必要とされています。熱の処理法としては油浸して放熱するものが最多ですが、癌の放射線治療に用いるLINEAC(ライナックまたはリニアック:直線加速装置)など大量の熱が発生するものでは、水冷式のものもあります。

参照:お口のテーマパーク8020

歯科エックス線撮影法の色々とその画像

エックス線は、歯肉、さらに骨や歯など通常は光を通さない物質を透過する作用(物質透過作用)があります。通常の白黒写真は風景などを小さくフイルムに収めるためにレンズで集光する必要性がありますが、エックス線写真は円錐形状に放出されたエックス線の、被写体を透過したものだけを直接フイルムに収集する、いわゆる「影絵の写し取り」です。そのため、被写体よりも大きなフイルムを必要とします。医科の話ですが胸部や骨盤などは最大サイズのフイルムである「半切」と呼ばれる大きなフイルムで撮影します。歯科では、一般的にはそのような大きさは使いません。顎全体を写すものとしては15cm(高さ)×30cm(幅)程度のパノラマフイルム、3cm×4cm程度の歯科用フイルムが一般的に多用されます。細い部分の撮影や小児に合わせたサイズのフイルム、さらに広い病変を捉えるための歯科用フイルムより大きめのフイルムサイズもあります。これらは患者さんの体や口のサイズ、病変が予測される位置(骨の表面か、歯の根っこの奥か)などにより歯科医師が考えて選んでいます。ちなみに、大き目のフイルムはフイルム料金が少々高くなることにもなります。

パノラマエックス線写真は、魚拓のようなものです。顎全体で、後ろから前に単純にエックス線を当ててそれを影絵にすると、歯と歯が重なってしまうことは分かると思います。そこで局面状の顎の骨を展開して、平面のフイルムに映す必要があるわけです。展開(パノラミックな観察)して写真に作り上げるために、パノラマエックス線写真と言われるわけです。具体的な撮影の方法としては、歯の表面に墨を塗っておいて、それを体の外に置いたフイルムではがしとることを考えていただければ、おおよその撮影方法の見当が付きます。縦1列に並べた馬簾で墨をはがしていることを想像してください。その部分、すなわち縦に細長い部分だけにエックス線を当てます。そうして顎の端から端までの歯と顎の骨の情報をフイルムに写し取るわけです。幅としては前述のように顎の骨の端から端まで、高さとしては目の下から顎の先端(オトガイ)の下側まで、それを15cm(高さ)×30cm(幅)のフイルムに収めるわけです。

パノラマエックス線写真では、総覧的な全体像を観察できます。歯科医師は、上あご(上顎:じょうがく)と下あご(下顎:かがく)の骨、そして全部の歯を観察します。歯については、位置、萌出(生えること)方向、生えている部分(歯冠)の形態、骨の中の部分(歯根)の形態、歯根の周囲の骨などを見ます。そして、患者さんの主訴(主な来院理由)の生じた理由を想定するわけです。パノラマ写真の特徴として、全体的に画像がぼやけている点があります。ぼける理由としては増感紙の利用によるボケ、そして撮影時に装置が動く(断層撮影またはスリット撮影と言われています)ことが挙げられます。フイルムを使った歯科用撮影では1mmの間にある20本以上の線が確認できる(20Lp/mm以上の解像力)と言われていますが、このパノラマ撮影ではせいぜい5本程度(5Lp/mm程度の解像力)が限界です。歯の正確な診断が必要になったら、歯科用撮影を追加することになります。

歯が原因で歯科医院を訪れた患者さんの場合、次の段階では、パノラマエックス線写真でざっと診断した歯の精密診断を行うわけですが、そのためには歯科用撮影が必須となります。粗い画像で診断を行わずに、歯についての情報が追加的に必要な場合にこの撮影法は重要です。具体的な撮影方法としては、頬の外側に照射装置を歯に向けて設定し、口の中で歯の裏側に置いたフイルムに、歯の影が写り込むようにするわけです。その際に、歯の形が自然に認められるような画像にするためにいくつかの工夫や方法があるわけです。むし歯(齲蝕:うしょく)の生じやすい部位としては、歯のかむ面(咬合面:こうごうめん)の他に、歯が隣の歯と接する部分(隣接面:りんせつめん)もありますので、その部分がきれいに写り込んでいることも重要ポイントです。

参照:お口のテーマパーク8020

被ばくについて

歯科エックス線撮影による被ばくは、多いという考え方と少ないという考え方の二つの側面があります。まずは多いという考え方ですが、これは、小さな薄いもの(全身と比べると顎の骨は小さく薄い)を撮影するのに増感紙を使わない直接法という方法を使っていることが論拠となります。増感紙を使うと、1つのエックス線光子で例えば10の蛍光を出す…つまり元のエックス線を1/10にすることができることを考えると、確かに歯科の撮影は無駄に思えるかも知れませんが、歯の痛みは、ほんの小さなむし歯の穴から生じることを考えると、被ばくを抑えて解像度を低くし、小さなむし歯を見逃すより、少々エックス線が多くても確実に診断する方が良いわけです。その代わり、歯科ではエックス線を照射する範囲をぐっと狭め、直径7cm程度の出口からエックス線を出し、被ばくする体の部分の体積を減らすようにしているわけです。被ばくする体積が少ないことから、体全体への影響は平均すると少なくなる・・・

これが、被ばくが少ないという考え方になります。現在歯が痛くてうなっている患者さんの診断を正確に行い、治療を確実に行うことを第一に考えると、多いとか少ないとか言ってはいられません。しかしながら現在は、診断を正確に行いながらどこまでエックス線の量を減らすことができるか、どのような補助的手段を使うとより正確な診断ができるか、さらには直接法用フイルムの感度をどこまで上げることができるか、各方面で検討が種々行われており、その成果を各医療機関が実践しながらデータをとり、国民全体の被ばくの低減に努めているところです。

これが、被ばくが少ないという考え方になります。現在歯が痛くてうなっている患者さんの診断を正確に行い、治療を確実に行うことを第一に考えると、多いとか少ないとか言ってはいられません。しかしながら現在は、診断を正確に行いながらどこまでエックス線の量を減らすことができるか、どのような補助的手段を使うとより正確な診断ができるか、さらには直接法用フイルムの感度をどこまで上げることができるか、各方面で検討が種々行われており、その成果を各医療機関が実践しながらデータをとり、国民全体の被ばくの低減に努めているところです。

当院で行っているデジタルエックス線撮影は、大変便利なものです。歯の撮影に関しては、口の中に大きなかさばったセンサーを入れることが多く、患者さんにとっては苦痛とも言えます。しかしながら、デジタルシステムを用いることによって、被ばくは、確かに減っています。同じ装置で撮影する場合、フイルムの約半分のエックス線量(タイマーの設定時間)で撮影可能と考えられます。昔からフイルムを使っている歯科医師の先生にとっては、出来上がりの画像がややラフに見えるので、診断ミスが生じないように導入しないという意見の先生もいます。実際に一般的なデジタル画像は、1mmの中に引かれた10本程度の線しか認識できない(10LP/mmの解像度と表現します)のに対し、フイルムを用いる場合には20本以上の線を認識できると言われています。エックス線撮影システムをデジタルにするかフイルムにするかの選択は、歯科医の先生方各個における価値観の問題です。フイルムを用いる場合とデジタルシステムを導入した場合には各々利点欠点がありますから、最も患者さんのために貢献できる方法として各個が吟味した結果を当院で歯採択しています。

被ばくによるリスクはどのように考えるべきでしょうか。ここでは二通りの例えで話しておきましょう。第一にはがんの発生のリスクです。確かに放射線を大量に浴びるとがんの発生のリスクが増えます。歯科の被ばくでどの程度のがんが発生するかを検討した結果、1年間に日本国民の1人以下ががん病変を生じていると考えられるという推定があります。これは年間1億枚程度の歯科用撮影(小さなフイルムで歯の撮影を行う)と1000万枚のパノラマ撮影による総計からの推定です。がんには放射線によるがん、自然発生したがん、例えば化学物質など刺激によるがん、これらが含まれますが、がんの性状に変わりはなく、各々の症例について原因を特定することはできません。ですからこれはあくまで推定です。しかしながら、非常に少ないリスクしかないことが分かると思います。全ての行動にはリスクが付いています。例えば街を歩くことにも交通事故に巻き込まれる危険が潜在していることを考えれば、「診断」に必要なエックス線被ばくは現在低く抑えられているということができます。

第二の例えは、自然放射線への年間被ばくについてのものです。我々は生活をしている中で、自然放射線に被ばく(自然放射線被曝)しています。放射性同位元素が環境の中に必ず存在していますし、また、宇宙線という放射線が宇宙を飛び回っていることは、小柴先生の「スーパーカミオカンデ」の話で有名です。歯科医院で行われる撮影による被ばく(医療被曝)の量は、実は、年間の総被ばく線量をさほど増加しているわけではないことが知られています。毎週毎週パノラマ撮影を行うような無謀なことをしない限り、歯科医院における放射線被ばくは安全な範囲の中にあると考えられます。もう一つ、自然放射線量は地域によっては日本の10倍近いところがあります。疫学検査で統計をとり、その地域のがんの発生率を求め、日本のそれと比較検討しますと、がんの発生率は誤差範囲内にある、つまり有意差がないという結果が得られています。数字のマジックであり、実情を反映していない可能性も示唆されますが、現在のところ、有効な考え方であると思われます。さらに、最先端の研究ですが、少量の放射線被ばくが体にどのように影響するかの検討を行っている一部の学者からは、放射線ホルメシス(放射線のホルモン的作用)という考え方も提唱されています。少量の放射線は体に害にならずに逆に益になるという考え方であり、各種の証拠も出されつつありますが、今はまだ研究の成果を見守るべきであると考えられます。

いずれにせよ、闇雲に体の一部である歯を削ったり、歯肉の切開を行ったりする前に、どのような状況になっているかの確認が必要であることはいうまでもありません。闇雲に処置をするリスクと、診断に潜在するリスクを歯科医師は天秤にかけてからエックス線撮影を行う、それもできるだけそのリスクを減らす努力をしてから行っているわけです。

参照:お口のテーマパーク8020

エックス線の法的規制

エックス線(放射線)を誰もが自由に使えるわけではありません。特に患者さんに対しては、医師、歯科医師、診療放射線技師の三つの職業に従事するもののみが行えると法律(診療放射線技師法)で決められています。全て放射線のことを決められた時間以上学習し、危険(生物学的影響)と利点を知っている者です。これらの職能には管理の責任も付帯しています。装置の維持管理、環境の維持管理、そして放射線を扱う個人の健康管理です。  装置にはJIS規格があります。例えば360度全ての方向にエックス線を放出するような装置は、フイルムの大きさ以外の部分は無駄です。ですから絞りの役目のある「照射筒(コーン)」が被ばく軽減のために使われます。この直径も、法的規制の範囲にあります。また、透過力が小さいエックス線は、体の表面に近い部分で吸収されます。このような放射線の成分が多いと被ばくが増加しますので、このような成分を予め除去するために鉛などでできたフィルター(濾過装置)を負荷する必要があり、濾過版の材質や厚さも法律によって規制されています。さらにはタイマーにも規制があります。撮影がうまくいかないことが撮影の途中で分かったら、それ以降のエックス線照射は無駄です。そこで、タイマーは、デッドマン式といわれる指を離したらエックス線の照射も止まるものにしないといけません。どちらかというとこれらはメーカーの問題ではありますが、これらの破損等がなく安全に照射ができるようにしておく必要があるわけです。車を運転する前には、点検が必要であることは法律で決められていますが、これと同じように、始業時の点検が必要なわけです。

環境の設定及び管理も歯科医院の開設者には必要なものです。エックス線照射装置を入れ、その中でエックス線を出す「エックス線室」は、表示などの義務があります。その中で使うエックス線の量には制限はありませんが、エックス線室の外へと出てくる「漏洩線量」には、厳格な法的規制があります。この法的に定められている線量限度自体をここでは述べませんが、使用時間と相まって、管理をしていくものは厳守しなければいけない基準があると知っておくことは重要です。エックス線室の次の環境を「管理区域」と言います。この範囲は、やはり線量が一定以上になる可能線のある場所の範囲で設定しますが、一般の歯科医院では、エックス線室イコール管理区域と設定してあり、エックス線室の外に漏れてくる線量自体を管理区域外への漏洩線量以下に設定してある場合が多いようです。管理区域の外側には、みだりに人が入り込まないように柵や杭を立て、表示をする義務があります。患者さんの皆さんも「エックス線室」と「管理区域、許可なく立入を禁ず」という両方の表示板を見たことがあると思います。病院(診療所)の境界外は、道路だったり居住区域であったりして、一般の人が自由に往来や出入りする可能性のある環境です。このような環境へはもっと少ないエックス線の漏洩しか許されませんが、これも法律で決められています。しかしながらこの部分は表示の義務はありません。そしてこれらの環境は年数回、実測によりチェックが必要とされているというわけです。これだけ厳重な、放射線取り扱いの環境についての法律が日本では完備しているわけです。

放射線を扱う人のことを「放射線作業従事者」といいます。これらの人に対しては、被ばく線量のモニタリング、年2回の健康診断など、被ばくが健康に害を及ぼさないように個人管理をする義務があります。一般の歯科医院や病院歯科ではめったにそのようなことはありませんが、事故が生じた場合の報告や、記録の保管の義務などもあり、特定の人に放射線被ばくが集中しないような人事管理なども、放射線に関する危険な作業が必要な事業所などでは必要になってくるわけです。

患者さん自身の被ばくについては法的な基準はありません。被ばくが多くなりそうだからといってエックス線を使った検査は採用できないようなことが生じるとなると、人命救助に必要な措置が取れない可能性もあります。患者さんの被ばくは、医師(歯科医師)の裁量で医師が考えます。患者さんの被ばくのリスクを上回るようなメリットが放射線を使った検査にあり、患者さん自信が検査によって利益を受けると医師が判断した場合に、患者さんにエックス線写真撮影を提示するわけです。交通事故などで意識がなく、同意の取れない患者さんに対して、医師が人命救助に必要なエックス線撮影を行うことができることはご存知と思います。歯科でも、被ばく量は医科と比べると少量ですが、基本的には同じような考え方をしているわけです。ですから、歯科医師になるためには一定の放射線の知識が必要となり、歯科医師国家試験でも毎年放射線に関する問題が出題されているわけです。厚生労働省では医師や歯科医師の国家試験問題を公表していますので、興味がおありの方は閲覧することも可能です。

参照:お口のテーマパーク8020

撮影後のエックス線はどこに行くの?

撮影に使ったエックス線はどこに行くのでしょうか。世の中を飛び回っていると考える人は少ないと思います。少なくとも、撮影直後のエックス線室に入るのが気がかりな方はおられると思います。理性的に考えれば安全だということは分かるのですが、気がかりは残ります。ここではそのような不安はないことをお話いたします。

エックス線はその進路において、壁などの物質と相互作用を生じます。平たく言えば、空気の分子を含めて進路上にある物質にぶつかります。空気は密度が薄いので非常に長い距離を走行してからでないと相互作用を生じませんが、密度が高く重い物質であればあるほど相互作用の頻度が上昇します。診療に用いるようなエックス線は、コンプトン散乱(コンプトン効果)、トムソン散乱(トムソン効果)、そして光電吸収(光電効果)の三者が相互作用として挙げられます。コンプトン散乱は、エックス線がそのエネルギーの一部を失い、より低いエネルギーのエックス線となって進路が変わるもの、トムソン散乱は、いわゆる乱反射(最初と同じエネルギーが維持されるが進路が変わるもの)、そして光電吸収はその名の通りエックス線が物質(電子)に取り入れられてエネルギー全てを失うことをさします。

エックス線は、発生すると直後からこの散乱と吸収を繰り返して徐々に減衰していくわけです。ここでエックス線の進む距離を考えましょう。光は1秒間に30万km進むと言われていますが、エックス線も同じ電磁波の仲間として同じ距離を進みます。エックス線室の壁から壁へ、あっという間に相当数往復するわけで、その間に散乱と吸収が繰り返されるわけですから、それこそあっという間に消滅します。光電吸収し終わった状態を消滅と言いますが、例えば10mが最大長の部屋の中で、3回の散乱で消滅すると考えると、1000万分の1秒、すなわちスイッチを切ったとたんにエックス線は消滅しているわけです。ちょうど、部屋の電灯のスイッチを切った場合すぐに光はなくなりますが、それとほとんど同じように消滅しているわけです。 エックス線室に入る場合には、ビクビクしながら入る必要はありません。

参照:お口のテーマパーク8020

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