歯の4大組織について

歯の4大組織について

歯はエナメル質、象牙質、セメント質(*)、歯髄の4組織から作られています。
(*セメント質:正式には歯周組織という歯の周りの組織に分類されます。)

それぞれに、役割があります。エナメル質、象牙質、セメント質の3組織は多くのミネラル(無機質)を含むため、比較的硬いです。特に、カルシウム(石灰)の含有率が高いエナメル質は石灰化組織ともいえます。

エナメル質

エナメル質は、歯の一番外側で透明感のある白い色をしています。石灰化度がとても高く、体の中で最も硬い組織です。ミネラル(無機質)の含有率は全体の95%で、その主成分はカルシウム・ヒドロキシアパタイト(石灰化成分)です。残りの5%は水分と有機質です。このエナメル質は見た目が綺麗なだけでなく、歯を守る鎧のような物で、とても固く上部であり、酸にも強い組織です。

このエナメル質を失ってしまうと様々な治療が必要になり、またエナメル質が残っている量によって治療内容も大きく変わります。エナメル質が少ないほど、治療は複雑になります。また、エナメル質の表面が脱灰して初期の虫歯になっても、早期であれば元に戻る、もしくは現状維持を行うことが出来ます。

セメント質

セメント質は、歯の根の外側を覆い、一般的には歯茎の中にあり色は濁黄色です。非常に薄くわずか50~100㎛(1㎛は1㎜の1000分の1)しかありません。成分は65%がカルシウム・ヒドロキシアパタイト(ミネラル成分および石灰化成分)と35%の有機質と10%の水分から構成される(セメント質のミネラル含有率は50%という見解もあります)

セメント質は骨と同じくらいの硬さですが、エナメル質と比べるとかなり柔らかいです。また、エナメル質に比べて虫歯になりやすい組織です。歯茎が下がってしまい、歯の根(セメント質)が露出してしまうと、虫歯になりやすいので特に注意した虫歯の予防策が必要です。

象牙質

象牙質はエナメル質とセメント質の下層に位置する、硬く黄色い組織で、歯の大部分をなします。象牙質は普段は目に見えません。エナメル質やセメント質(歯茎)に覆われています。

しかし、エナメル質やセメント質が摩耗したり、歯の治療中に削りとった場合、虫歯による破壊が起こった場合に見えます。成分は70%がカルシウム・ヒドロキシアパタイト、18%は有機物(コラーゲン繊維)、12%は水分で構成されています。セメント質よりも硬く、エナメル質よりは柔らかいので欠けにくいです。しかし、象牙質が表面に出てしまうと歯が凍みる、すり減りやすい、虫歯になりやすい等の欠点があります。一般的には象牙質が歯の表面に出ないようにする事が望ましいです。

歯髄

歯髄は歯の中央部にある歯髄腔と呼ばれる空隙にある軟組織(石灰化もミネラル化もしていない組織)です。歯髄には、根尖孔と呼ばれる歯根先端から神経や血管が入ります。
歯髄の機能は

形成

象牙芽細胞は、歯の障害を通じて象牙質を形成します。歯根完成後に形成される象牙質は第二象牙質と呼ばれます。

感覚の伝達

歯髄の神経終末は熱、冷たさ、切削、甘い食べ物、虫歯、外傷(怪我)、脳の感染症等が原因で生じる痛みの感覚を伝えます。ただし、“痛い”という感覚だけを伝えるため原因を区別することはできません。

栄養の供給

歯髄の血管は、血流を通じて歯髄細胞および象牙質を形成する象牙芽細胞へ栄養を運びます。

防衛・保護

歯髄は歯の損傷や虫歯に対して反応し(象牙芽細胞から)修復象牙質を形成します。虫歯が大きく、歯髄に近くまで象牙質を失ってしまった時、第二象牙質の形成を促すお薬をつけ歯髄を保護する象牙質が出来るまで待つ治療方法もあります。

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