歯周病を発症させる原因菌は判明しているのか?
答え
特定の細菌や細菌のグループで特に歯茎に対する毒性が強いものが知られている。
しかし、特定の細菌や細菌のグループとは関係無く、歯の周りの汚れ(プラーク)が溜まると
歯周病が発症することも確認されています。
また、特定の細菌のみを除去することも困難です。
そのため、毒性の強い細菌がいてもいなくても、生涯を通じての歯磨き(プラークコントロール)がとても重要になります。
Theilade E. The non-specific theory in microbial etiology of inflammatory
periodontal disease. J Clin Periodontol 13:905-911, 1986.
歯周病の発症と進行に関しては2つの学説があります。
【特定細菌原因説】と【非特定細菌原因説】
【特定細菌原因説】
コレラや結核等の、原因となる細菌(及びそのグループの細菌)がいて、それが歯周病の原因であるとするもの。
この学説を元にすると、治療はその悪さをする原因菌を除去することが治療となり、感染の防止が予防となります。悪さを始める菌を除去して再感染を防げば、歯周病にはならなくなります。特定の細菌グループがいなければ、歯磨き(プラークコントロール)すら不要になります。
しかし、歯周病原因菌は元々の口腔内細菌の一部なので、完全に撲滅することは不可能と考えられています。
(*侵襲性歯周炎という、とても進行の早い歯周炎を調査した研究ではAa菌が発症と進行に重要な役割を果たしてると言われています)
【非特定細菌原因説】
歯磨きが不十分で歯の周りの汚れが溜まり、最近の量が宿主抵抗性(自己免疫能力、自然治癒力)を超えた時に歯周病が発症するという考え方です。
歯の周りの汚れの中の菌の多くは、少なからず毒性を持っており毒素が増えると歯周病を引き起こすという考え方です。
そのため、治療方法は歯の周りの汚れを減少させることです。つまり、適切な歯磨き(プラークコントロール)です。この治療の効果は実証済みです。
ただし、この学説だと歯周病が進行する部位としない部位があることの説明がつきません。
もちろん、これは歯の周りの汚れの中の菌だけでなく、宿主抵抗性の違いによるものであるとの解釈は成り立ちます。
現在も、どちらの説が正しいかは明確になっておりません。
しかし、どちらの説であってもプラークコントロール(適切な歯磨き)が
歯周病の治療と予防に重要であることは変わりません。
だから、お口の健康を守るために毎日の歯磨きが大切なのです。