前歯の見た目が気になる。
出っ歯のようだ。唇を閉じようとしても歯がはみ出てしまう。
または
笑った時に、殆ど上の歯が見えない。
等の前歯の見た目、長さ、
もっと具体的には、顔全体の中で上の前歯の先端の位置
これが、どこにあるのが最も見た目が綺麗に見えるのか?
多くの対象者の平均値から適切な位置を調べた研究についてです。
これが、大掛かりな被せ物の治療の時、
「まずは審美から始める」
の審美の基準の1つが決まります。
1つ目の論文
Vig RG and Brundo GC (1978): The kinetics of anterior tooth display. J Prosthet Dent 39:502‑504.
1978年に発表された、ちょっと古い研究です。
しかも、被験者数について論文に明確な記載がなく
現代で発表を行うのであれば、問題が多いのは事実です。
その辺りを差し引いて検証をして、治療の時に活用します。
安静時に上の前歯は
男性だと、およそ2mm
女性だと、およそ3.5mm
下の前歯は
男性だと、およそ1,2mm
女性だと、およそ0,5mm
と上の前は女性の方が多く見える
また年齢が上がるにつれて
上の前歯の見える量は減るのに対し
下の前歯は見える量が増える傾向にありました。
*加齢と共に唇が下がるのが理由でしょう。
これらから、全ての患者さんに一律に
歯の見える量を決めるのではなく
性別や年齢を考慮して治療を行わないと
せっかく治したのに
「不自然」となってしまいます。
そのため、前歯の治療を行う時は
患者さんの顔の写真を撮影し
適切な露出量を予測して治療を行い、
さらに調整と確認を行うことになります。
2つ目の論文
Misch CE: Guidelines for maxillary incisal edge position-a pilot study: the key is the canine. J Prosthodont. 2008 Feb;17(2):130-134.
1つ目の論文について
色々と問題があったので、
追試が行われた結果です。
上の前歯と犬歯の露出量を計測しています。
この研究では、白人の男性と白人の女性のみを対象としています。
結果は
上の前歯の露出量はかなりばらつきがありました。
男性は平均で2.5㎜
女性は3.8mm
ただし、男性よりも女性の方が露出量が多い
加齢によって露出量が減少する。
という結果は、1つ目の研究と同じ結論でした。
これらから
前歯の見た目を改善する時には
年齢と性別から、ある程度の予測をつけることが出来る。
最終的には患者さんの顔全体からのバランスで決まる。
そのため、いきなり最終的被せ物にはせず
仮歯を作製し
見た目と、発音と、食事をした時の具合が
問題が無いことを確認してから
最終的な被せ物にします。
ひのまる歯科では
「見た目にこだわる」
という一言のために
前歯の先端の位置を決めるだけで
このような検証項目があります。
他にも、歯の形、歯の色、歯茎の形、歯の並びなど
様々にあります。