Pokorny PH, Wiens JP, Litvak H (2008): Occlusion for fixed prosthodontics: A historical perspective of the gnathological influence. J Prosthet Dent 99:299-313
中心位
初期のナソロジストは顎を無理に押し込んで、これ以上奥には動かないところを
基準としていました。
それは、下顎が顎関節の中で
最後方(rearmost)、最上方(uppermost)、最中央(midmost)
にあるとき(頭文字をとってRUMpositionと言いました)。
これを中心位として、それと最大咬頭嵌合位を一致させること(centric relation occlusion,
CRO)がナソロジーの咬み合わせの追求するテーマでした。
現在の中心位の基準とは異なります。
奥歯でしっかりと咬んでから
下の顎を左右に動かしたり、前に動かしたときに
前歯(特に犬歯)だけが当たり、奥歯は触れないようにします。
咬み合わせの高さ
咬み合わせの高さは。発音、顔面と歯牙の審美的な状態から評価されます。
適切な咬み合わせの高さを一発で決める術式は、あまり科学的ではありません。
様々な検査を持ちいて決めます。
カチカチと上下で歯を咬み合わせた時
綺麗に上下の歯が咬みこむような咬み合わせにして、顎を左右や前に動かす時は
犬歯によって誘導されるのを支持する論文が多い。最も優れた方法というのは決まっていない。
治療する歯の本数によって、現在の咬み合わせのまま治療するのか
中心位に合わせて、全ての咬み合わせを治すのかが決まります。
ナソロジーのエビデンス
咬み合わせの理論の多くはEBDの考え方が普及する前のものであり、
低いエビデンスレベルの論文も多く参照されてきました。
また、重度の骨格性の咬合異常(顎が変形している、上顎、下顎が異常に大きい・または小さい)
などの場合には、ナソロジーの対象とは必ずしもならない。
中心位と最大咬頭嵌合位
中心位は顎関節の軟組織や神経、骨の状態によって変化します。
しかし中心位は治療上の利便性のため、治療期間内に再現性のある顎位として用いるべきである。
咬み合わせに対する論文は
expert opinion、case reportのみでエビデンスレベルが低いです。
しかし、エビデンスが欠如していても治療の効果の欠如を意味しているのではありません。
正確な治療のゴールを目指すことは大切です。
究極的には、歯科医師が手に入る論文と研究を評価し自分のものとして、
各々の臨床経験と検査の結果と合わせていかなければならない。