Grippo JO, Simring M, Coleman TA: Abfraction, abrasion, biocorrosion, and the enigma of noncarious cervical lesions: a 20-year perspective.
J Esthet Restor Dent. 2012 Feb;24(1):10-23.
アブフラクションという言葉は聞きなれないかと思います。
アブフラクションとは、咬み合わせた時の応力が原因で起きる
歯の微小な破折であると1991年に同じ著者のGrippoが提唱しました。
しかし、このアブフラクションという言葉はよく誤用され
歯科医師間でも言葉の定義を含め混乱があります。
最も良くある例として
NCCL(歯と歯茎の境目の凹み)の原因はアブフラクションが唯一である。
ということ。
NCCLは多くの場合、様々な原因によっておこる多因子疾患です。
1つの原因で説明することは困難です。
その様々な原因を図にしてまとめてあります。
歯を腐食させるものと一緒に長時間の食いしばりや矯正治療などによる
応力にさらされた場合に起きます。
しかし、これらの理論を支持するエビデンスはいまだに不足しているの雅現状です。
酸による歯の劣化だけでなく、歯質に含まれるタンパク質分解する酵素も
歯質の劣化に繋がるため
酸触でなく、腐食という言葉を使用した方が適切と思います。
全てのアブフラクションは咬み合わせの力だけで生じているわけでは無く
酸やタンパク質分解酵素等による象牙質の劣化も一因として考えられます。
そのため、医科的既往歴、歯科的既往歴、咬み合わせの検査、食習慣、歯磨きの仕方、
唾液量、唾液緩衝能、PH等も
NCCLに関わる重要な修飾因子です。
だから、当院では
日々の食習慣、生活習慣、歯の磨き方について
詳しくお話を伺い必要な検査を行ってから治療を開始しています。